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2018.08.1

「宗像日本酒プロジェクトに寄せて」

菌はいる。いたるところに菌は居て、僕らを繋げてくれる。
風が吹くと風を意識するし、雨が降ると水を意識出来る。
だけど菌を意識する事って、少ない。
夏は食中毒に気をつけて、とか。
腸には乳酸菌が良いのよ、とかそう言う所に出てくる菌はほんの一握りで。
蔵の中にも土の中にも肌の上にも菌達はいて、彼らなりの生き方をしているんですよね。

ところで今回酒米山田錦を栽培して頂いたのは世界遺産にも登録された福岡県宗像市で
農薬・化学肥料・有機肥料不使用で自然栽培による米作りを10年程してこられた農業福島園の
福島光志(ひとし)さんです。

宗像市での山田錦栽培は近年行われておらず、まして農薬・化学肥料・有機肥料不使用の
自然栽培による酒米造りは前例がありません。

名前の通り光る志を持った福島さんが新しいチャレンジをしてくださり、その結果見事な
一等米を山の壽へ届けてくださいました。

出来上がったお酒を呑んで不思議な感覚があります。
普段使いの酵母と麹で仕込んだ普段使いのお酒なのにそれより少し想像を越えたお酒に仕上がったなと感じたのです。
そしてそれは酸やアミノ酸がどうとか日本酒度がこうでと言う様なものさしじゃ測れない何かだと思っています。

造りの中では我々も日々数値を頼りに、舵をとります。
ただやはり考えるだけではお酒は造れないのです。
見ながら触れながら嗅ぎながら造らないと分からない部分が多くあるのです。
そして話しながら、笑いながら作るのが山の壽だと胸を張って言える日が来る様に努めています。

今我々の仕事である醗酵が世間で注目を集めています。
こう言った目に見えない何者かに意識が行くって凄い事だと思うんです。
あらゆるバランスが偏り崩れていくこの世で、必死にバランスを取って生きてきたのが菌だとすれば、
今この時にこの醗酵分野に関われる幸せを感じずにはいられません。

今回このお酒は総米800kgの造り一本分しかご用意しておりません。
ただ今年、来年とプロジェクトが続きこのお酒が二本三本と増える中で無農薬の田んぼが少しずつ増えていき、
畔を通り川を通り海へ出る水が少しずつ澄んでいく。
その様な光景を皆さんと一緒に見たい、それがこの宗像日本酒プロジェクトの想いです。

日頃より格別のお引き立てを頂き真に感謝しています。
そして今後とも山の壽と末永くお付合い下さいます様宜しくお願い申し上げます。

山の壽酒造株式会社 一同

special thanks to 農業福島園の皆様、とどろき酒店の皆様、このプロジェクトを繋げて頂いた全ての皆様。